サッカーの戦術の話

個人的に気になったサッカー主にJ1,J3,プレミアの試合を分析します。

【プレビュー】東京五輪準々決勝 日本vsニュージーランド

J3戦術ブログとして始めたこのブログですが、一般的に注目度の高い試合も扱ってみようと思います。

ちょうど東京五輪が盛り上がっている時期なので、サッカー男子の準々決勝、日本vsニュージーランドのプレビューをしてみたいと思います。

事前情報

GL成績

日本:3勝0分0敗(1位通過)

ニュージーランド:1勝1分1敗(2位通過)

出場停止

日本:酒井宏樹(2)

ニュージーランド:スタメニッチ(10)

予想スタメン

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予想スタメン

日本はオーバーエイジの酒井が出場停止のため、右SBには橋岡が今大会初先発となる見込みです。フランス戦で55分から出場していますが、これはよほどのことがない限り「次戦のために使うぞ」といった森保監督からのメッセージだと考えられます。冨安を右サイドに回して板倉を使う手もありますが、日本最強のCBをわざわざ右で使うようなことはしないでしょう。

FWはフランス戦で休養となった林と予想しましたが、そのフランス戦でまずまず良い動きを見せていた上田のスタメンも十分考えられます。

ニュージーランドは、最終戦ルーマニア戦では4バックを採用していましたが、おそらく日本戦では5バックで守備的に戦うと思います。ベースは韓国戦、ホンジュラス戦のスタメンです。10番のスタメニッチが累積警告で出場停止ですが、さほど影響はないでしょう。

では、グループリーグの試合内容から、ニュージーランドの攻守の特徴について触れていきたいと思います。

ニュージーランドの特徴

守備時は5バックで5-4-1のラインを形成、リトリートしてブロックを敷いてきます。受け身になっても3人のCBが集中してゴール前でブロックします。韓国戦でも攻め込まれる時間が多かったですが、2番のリードを中心に良く守っていました。

また、プレスラインはそれほど高くないので、比較的日本は自由にボールを回せると予想できます。

攻撃時は、ボールを持ったらまずサイドのスペースにフィードを考えます。そこにシャドーの12番マコワットや7番ジャスト、あるいは9番ウッドが流れて受け、起点となります。韓国戦ではCBから逆サイドへのサイドチェンジも多く見られました。とにかくサイドから攻めてくる回数が多いです。

また、フィード以外の選択肢としてはWBとシャドーのコンビネーションで崩すパターンがあります。ルーマニア戦は相手に5バックで引かれてスペースを埋められていたため、このパターンの攻撃が多かったです(と言っても時間の都合でルーマニア戦は最初の30分しか見ていませんが)。ニュージーランドは縦への推進力があるチームで、パス&ゴーの意識が高い印象でした。特に3番のカカーチェはスピードもあり、かなりの割合で攻撃に絡んできます。質の高いクロスも兼備しているため、日本にとっては注意したい選手です。

ボランチを釣り出して中盤を攻略せよ

前述のようにニュージーランドは5-4-1でブロックを形成してくることが予想されます。日本と同じ4-2-3-1システムの韓国とのマークの噛み合わせは以下のような感じです(面倒なので韓国側の選手名は省略)。

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ニュージーランドと韓国のマーク噛み合わせ

相手のFWとトップ下に対してはCB3枚で対応、WBが下がってSHを見る、ボランチはそのまま相手ボランチを見る、SBに対してシャドーが対応、ボールを持つCBに対して1トップがプレスに行く、といった形です。これは日本戦でも変わらないでしょう。

攻撃側はこの5-4の守備ブロックの内側に侵入していく必要があります。このままの状態ではスペースがなく、ブロック内にボールを入れてもすぐにプレスを受けてしまいます。

では、韓国がいい形で攻め込んだシーンからニュージーランドの守備ブロックの攻略法を考えてみます。

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5-4のライン間のスペースを作る動き

21:17頃のシーンです。韓国のCBがボールを持った時、韓国15番の選手が最終ラインまで下りる動きを見せます。するとニュージーランドの6番ルイスが釣られてついていきます。これにより5-4の4のラインが3枚になります。中盤が3枚になることで選手同士の距離間が空き、スペースが生まれます。ここに韓国のサイドハーフの7番の選手が入ってボールを受けることでチャンスに繋げていました。

66:40頃にも1人降りて相手を引きつけ、中盤4枚を動かしてライン間で受けるシーンがありました。

日本も何らかのアクションで相手のボランチを釣り出し、中盤のスペースを有効に使用できれば、チャンスの回数も増えるでしょう。

ウイングバックの裏を突け

前述しましたが、ニュージーランドの左ウイングバックの3番カカーチェは走力とスピード、更に高精度クロスを備えた非常に怖い選手です。カカーチェの持ち味はその攻撃力ですが、高い位置を取ることが多い選手なので、ニュージーランドのネガティブトランジション時には大きなスペースができます。

日本は奪って速い攻めを仕掛ける際は、このサイドを突けるかどうかが一つのポイントになるかもしれません。

余談ですが、このカカーチェの所属は日本でもおなじみのシントトロイデンです。なのでマッチアップする橋岡とはチームメイトということになります。(小ネタが好きな民法のサッカー中継ではおそらくこの「チームメイト対決」には触れてくるでしょう)

ウッドを止めろ

最後のポイントはニュージーランドの要注意FWを抑えられるかどうかです。

9番のクリス・ウッドはオーバーエイジでこのチームに参加しており、A代表でも絶対的なエースとして君臨しています。現在プレミアリーグで4シーズン連続2桁ゴール達成中と、日本のレジェンドである香川真司本田圭佑よりも欧州での実績は上と言えるでしょう。この東京五輪でも韓国、ホンジュラス相手にそれぞれ1得点と、実績に違わぬ結果を残しています。

両足のシュート技術の高さ、191㎝の身長を生かしたヘッドと多彩なゴールパターンを持ち、エリア内で彼にボールが渡ると非常に厄介になことになります。

フランス戦でジニャクを抑えた今の日本の守備陣なら大丈夫だとは思いますが、実績十分のストライカーがいるということは注意したいポイントになります。

 

まとめ

色々と書きましたが、実力は日本の方が上だと思います。普通にやれば勝てる相手です。

攻めきれない焦りから前のめりになって、カウンターで失点というようなことだけはないようにしてもらいたいです。油断せずに試合に入り、手堅く勝利を収めたいところ。

注目の準々決勝は7/31(土)18:00キックオフです。