サッカーの戦術の話

個人的に気になったサッカー主にJ1,J3,プレミアの試合を分析します。

【分析】2021 J3第20節 テゲバジャーロ宮崎 vs アスルクラロ沼津

4回目の分析は2021年9月26日(日)に行われた明治安田生命J3リーグ第20節 テゲバジャーロ宮崎アスルクラロ沼津です。

諸事情によりバタバタしていて1ヶ月以上も前の試合の記事になってしまいましたが、せっかく書いたので公開します。
 
テゲバジャーロ宮崎(以下、宮崎)は3試合負けなしと好調、アスルクラロ沼津(以下、沼津)は2連敗中です。
前回対戦は1-1のドローでした。

では、スターティングメンバーから確認します。

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スタメン(宮崎-沼津)

宮崎、沼津共に4バックのシステムです。
宮崎は前節と全く同じ布陣で臨みます。沼津は前節からDFラインの選手に入れ替えがありました。

両チームのスタイルですが、宮崎は自陣ポゼッションの指数がリーグで1位です。カウンターの指数もかなり低い値です。この試合でも確実にボールを繋いで前進していました。
沼津もハイプレスで速い攻めというより、セットした守備から自陣で奪ってボールを繋ぐサッカーを展開していました。
テゲバジャーロ宮崎 2021 チームスタイル[攻撃セットプレー] | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

アスルクラロ沼津 2021 チームスタイル[攻撃セットプレー] | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

では、試合の中での細かい動きやチームの狙いを見ていきます。

宮崎の中盤空洞化オフェンス

宮崎のビルドアップは7千布が降りてセンターバック2人と最終ラインを形成していました。ここに17前田が絡んで3+1で前進します。両サイドバックは高い位置を取り、サイドハーフは中側のレーンに入って相手のディフェンスラインを牽制します。そして中盤の枚数を減らして一気に深い位置にボールを送ります。

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宮崎保持時の立ち位置

対する沼津は人に付くのではなくスペースを埋める形で守ります。4-4-2でブロックを敷きますが、相手の最終ラインでボールを保持された時、沼津の中盤の選手はパスコースを切れず、プレスにも行けずで効果的な立ち位置を取れているとは思えませんでした。
特に宮崎の高い位置を取るサイドバックへのパスコースが空くことが多く、沼津のサイドハーフの立ち位置も微妙でした。
が、沼津はある程度侵入を許す中で、DF-MFラインをコンパクトに保ち、前半は失点することなく折り返しています。

自由を与えられる23徳永

このメカニズムでの攻撃が増える中、宮崎は23徳永の動きが1つキーとなっているようにも思えました。
中盤の空いたスペースを使って下がって受けるのか、相手の最終ラインと駆け引きして裏を狙うのか。ある程度原則に基づいたビルドアップが展開される中で、どちらかによって数的優位を作り出すことが求められます。

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パスソナー(宮崎)

パスを受ける本数が同ポジション逆サイドの18渡邊と比べて23徳永が圧倒的に多いことがわかります。彼の判断がビルドアップの出来を左右しそうです。

沼津の攻撃パターン

沼津のビルドアップはCB2枚+ボランチ2枚というのが基本のようです。場合によってはSBが下りてくることもあります。
攻撃のキーマンはキャプテンの15菅井です。最後尾に位置してビルドアップに絡みながら、サイドへの長短のパス、縦への楔のパスなど攻撃のあらゆる局面に絡んでゲームメイクしていました。
基本的な立ち位置としてはSBが高い位置を取るのですが、宮崎のSHがこれに付いていく為、宮崎のボランチ脇にスペースが生まれます。ここを利用して15菅井がゲームメイクするというのが基本パターンでした。

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沼津保持時の陣形

前線のアタッカーは、味方がボールを持つと流動的にポジションチェンジします。20佐藤はサイドに流れることが多く、先制シーンでも左に流れた20佐藤と33高橋が深い位置まで入り込み、サポートに入った15菅井がエリア外で受け、素晴らしいミドルを決めています。

宮崎の得点に繋がったポイント

後半に宮崎が逆転に成功していますが、2点共に起点となった楔のパスは7千布からでした。前半は最終ラインから両ワイドへの展開や、降りてくる2列目への楔のパスが多かったですが、中央の最前線を目掛けたボールを送ることが多くなりました。最前線にボールを送り、さらにその近くに味方を多く配置しているので、畳み掛けるような攻撃を実行していました。
結果的にこの2点が試合を決め、宮崎の逆転勝利となりました。

まとめ

両チーム攻撃がオーガナイズされていましたが、より洗練された宮崎が力を発揮した試合となりました。
特に今回は詳しく記載しませんでしたが、宮崎はトランジションが速く、高い位置で奪ってからの速い攻撃が見事に機能していました。

最後に気になった選手を挙げて今回の分析を終わります。

・菅井拓也(沼津MF)
ベテランらしい落ち着きでまさにゲームメイクの中心を担う選手。長短のパスを織り交ぜて中盤を支配する。もう少し若ければステップアップしていく姿を見れたかも。

・徳永祐大(宮崎MF)
得点に直結するなど目立った働きがあるわけではないが、そのフリーランニングによって宮崎の攻撃を活性化させるキーマンとなっている。戦術理解に優れているため、どんな監督にも重宝されそう。


参考
sporteria.jp

以上