気が付いたら更新せずに年が明けていました。Jリーグもオフになったので海外サッカーの分析でもしてみようと思います。
タイトルの通り、1月13日に行われたプレミアリーグの試合を分析してみます。
有名どころのチームの分析は私よりも優秀な多くの戦術マニアの方がそこら中に記事を書いていると思うので、(ファンの方には申し訳ありませんが)ちょっとマイナーな試合を観てみました。
ウェストハムは昨季終盤の好調を維持し、ここまで4位とCL圏内も狙える順位に付けています。
一方のノリッジはシーズン序盤での監督交代に踏み切るなど試行錯誤しますが、現在最下位と苦しい状況。
では、スタメンから確認していきます。
システムは両チームともに4-2-3-1のミラーゲームの配置です。(海外選手の表記は所々間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)
ウェストハムの3クレスウェルは怪我から復帰したとのことです。あまり前情報はありません。
早速試合の内容を見ていきます。
予想通りというか、順位通りウェストハムが押し込む展開が続きました。
ノリッジは守備的に振る舞い、極力引いて構えて跳ね返したところを素早く前線に送って攻撃に繋げるスタイルのようです。守備時は全体がリトリートし、ライン設定も低め。2人の守備的MFも最終ライン近くまで下がります。
「受け身」になる相手に対してウェストハムはボールを保持しながら主導権を握っていました。ウェストハムは相手の中盤のスペースを使って(作って)優位に試合を進めていきます。
左右可変のビルドアップ
ウェストハムのビルドアップは右回りか左回りかによって陣形が異なります。
右回りにボールを回す場合はCB2枚に左サイドバックの3クレスウェルが落ちてサポートします。左回りの場合は守備的MF(DMF)の10ランシーニが右後方に落ちてサポートします。
ノリッジは22プッキ、35イーダの2枚がファーストプレスをかけてくるため、ウェストハムは後方3枚で優位性を持たせていました。+1の役割の41ライスはバランスを見ながら一列前でボールを受けてサイドや前線にボールを展開します。
中盤スペースの攻略
ノリッジのライン全体的に低めで、DMFも最終ライン近くまで下がるため、相手の中盤に大きなスペースを与えてしまいます。
配置で深さを取り、相手の中盤とFWの間のスペースを41ライスや10ランシーニ、8フォルナルス、11ヴラシッチが利用して保持しながら前進させます。スペースへ2列目の選手が降りて後ろ向きに楔のボールを受け、そこにマークを食いつかせて、叩いたら付いてきたマークの背後にボール展開するといったプレーでアタッキングサードに侵入していきます。ノリッジは常にリアクションから入るため、動かされてスペースを使われており、守備が後手に回っている印象でした。
ウェストハムの崩し・仕掛けの局面
ウェストハムのフィニッシュに至るまでのメカニズムを見ていきます。
左サイドを起点に攻め込むことが多いウェストハムは、左で深さを取ってそのままクロスを上げるか、最後は10ランシーニがパスの供給役になるシーンが多いです。
また、20ボーウェンはスタートポジションこそ右SHであるものの、フィニッシュの局面では常にゴール前に入り込んできています。それにつられてノリッジの左SBの21ウィリアムズは中央に絞らざるを得なくなり、ウェストハムの右サイドには広大なスペースが生まれます。
そのスペースに右SBの5ツォウファルが常に高い位置を取って入ってきます。本来左SHの17ラシツァがケアするポイントですが、監督の指示なのかわかりませんが、なぜか常時中央寄りのポジションを取っています。結果的にノリッジは5ツォウファルへの対応が遅れ、簡単にクロスを上げさせるシーンが目立ちました。(先制ゴールのシーンも左からのクロスを拾った5ツォウファルがまさにこの記述通りの展開でクロスを上げて20ボーウェンが決めています)
ノリッジの攻撃の狙いは・・・
ノリッジはボールを保持するシーンが少なかったこともありますが、攻撃に明確な狙いを感じることはほとんどありませんでした。実力的にも劣るため、守備的に振舞うのは致し方なかったとはいえ、もう少しアイディアが欲しかったですね。
強いて上げるならば4ギブソンから35イーダへのロングフィードが一つポイントになっていました。35イーダは個人技術に優れ、唯一ノリッジで攻撃のアクセントをつけられる選手だったと思います。
まとめ
後半、疲れからかウェストハムの多少ラインが下がってきたところで、ノリッジは35イーダを起点にクロスからチャンスになりそうなシーンもありましたが、終始試合を支配したウェストハムが盤石の勝利を収めました。
最後にいつものように気になった選手を挙げて終わりにします。
・ジャロッド・ボーウェン(ウェストハムMF)
恥ずかしながら初めて知った選手でしたが、この試合は彼の独壇場でした。フィニッシャーとして非常に優秀で、点の取れるSHとしてビッグクラブから声がかかってもおかしくないのではないでしょうか(ただ、最下位のノリッジ相手の試合なのでこの試合だけで評価するのは違うかもしれませんが)。
・ミロト・ラシツァ(ノリッジMF)
若く才能溢れる選手という印象ですが、いかんせん守備時のポジショニングが気になりました。あれが監督の指示なのかどうかはわかりませんが、この試合では悪いように目立ってしまっていました。まだ若く、周囲からの期待も大きいようなので、今後の成長に期待したいと思います。
以上