サッカーの戦術の話

個人的に気になったサッカー主にJ1,J3,プレミアの試合を分析します。

【分析】2021-22 プレミアリーグ第23節 チェルシー×トッテナム

今回は1月22日に行われたプレミアリーグ第23節チェルシー×トッテナムの試合を分析します。前回の試合分析はカードがあまりにも渋すぎたのか、全然読まれることもなかったので普通にビッグマッチを取り上げてみました。もはやJ3へのこだわりはないですね。

余談ですが、知ってる選手が多いので有名なチームの方が分析はしやすいです。

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トッテナムはコンテ監監督就任後、リーグ戦負けなしでここまで来ています。

チェルシーカップ戦は勝利しているものの、リーグは5試合勝利なし。なかなか対象的な両チームです。

いつものようにスタメンから確認します。

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スタメン(チェルシーvsトッテナム)

どちらのチームも今季は3バックと4バックを相手によって使い分けていますが、このカードでは共に4バックでスタートしてきました。

主力選手の状況は、チェルシーが両サイドバックのチルウェルとジェームズが怪我。メンディーがアフリカネーションズカップでメンバー外となっています。トッテナムソン・フンミンが怪我で離脱中です。

 

前半

前半はチェルシーが7割以上ボールを保持し、優位に試合を進めます。

チェルシーは4-1-2-3のような形でインサイドハーフ(IH)にコバチッチとマウントが入り、アンカーにジョルジーニョが入ります。SBがハーフスペースに位置し、ウイングが幅を取ります。同サイドのIHが内側で角度を付けて受けるか、サイドの深い位置へ斜めにランニングしてボールを引き出します。

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チェルシー保持時の配置と狙い

対するスパーズはフラットな4-4-2でブロック。チェルシーのSBにはSH、ウイングにはSB、IHにはIHが付いて対応しますが、立ち位置が明確なチェルシーの選手たちにダイレクトに繋がれて後手に回っていました。

また、チェルシーはサイドを変えるときや、攻撃をやり直すときはアンカーのジョルジーニョを必ず経由しています。トッテナムの守備陣系だと3列目のジョルジーニョが余る形になるため、ここがフリーになるシーンが多いです。視野が広く、プレスを受けながらもダイレクトに叩く技術に長けるジョルジーニョが攻撃のリズムを作っていました。

サイドで深さを取ってラインを下げさせ、フリーのジョルジーニョを経由して決定的なチャンスを作るというのがチェルシーの狙いです。

トッテナムはリトリートした守備からシンプルなカウンター攻撃を仕掛けるシーンもありましたが、チェルシー守備陣のプレスバックの速さとインテンシティの高さに手を焼き、シュートまで持ち込むシーンはほとんど作れませんでした。

 

後半

後半に入ってもチェルシーの優位は変わらず、後半開始直後にシエシュのゴラッソで先制に成功します。ハドソン=オドイがタンガンガを振り切り、スピードに乗ってPA付近まで攻め込み、逆サイドのシエシュへ。迷わず振り抜いた左足から放たれたボールは芸術的な弧を描いてゴールへと吸い込まれました。

さらに先制から間もない54分、左サイドで得たFK。マウントの正確なキックに合わせたチアゴ・シウバのヘディングでチェルシーが追加点をあげました。

 

これで前ががかりにならざるを得ないトッテナムは、56分の選手交代で4-1-2-3にシステムを変更します。

トッテナムは保持時、ウイングが中に入り、サイドバックが開いて高い位置へ入るのが基本形です。ウイングの選手がボールを引き出しながらサイドを崩すのが狙いです。

対するチェルシーはマークする相手に変更はなく、サイドバックはそのままハーフレーンのウイングをケアし、両ウイングが相手のサイドバックに付く形になります。

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56分~トッテナムシステム変更後の保持時の立ち位置

これを錯乱させるためにトッテナムはウイングとサイドバックがクロスに入れ代わるプレーも見られました。59:58秒付近のシーンでは右サイドでルーカス・モウラが斜め外側に落ちて、ドハーティが内側に斜めにランニングしています。

ただ、トッテナムはボールと逆サイドのサイドバックも高い位置を取ろうとするため、サイドで奪われた瞬間に逆サイドの後方に大きなスペースができてしまい、狙われるシーンもありました(66:46付近)。

 

チェルシーのプレス意識が多少低くなったことも影響し、トッテナムはボールを保持する時間が前半よりも増えました。しかし、後半も変わらず高いインテンシティを見せるチェルシーの中盤を攻略できず、人にしっかり付かれている状態で守備ラインを崩せない時間が続きます。

中盤のウィンクスに代えてブライアン・ヒルを投入するなど変化をつけようとしたトッテナムでしたが、結局終始チェルシーのペースで試合は進み、終わってみれば2-0の完勝となりました。

 

では、気になった選手をあげて終わりにします。

 

・マテオ・コバチッチ(チェルシーMF)

中盤で攻守に走り回り、球際のデュエルを制したかと思えば、終盤はジョルジーニョ交代後にはも下がってリズムを作る役回りも担っていました。アスピリクエタもそうですが、とにかく何でもできる彼のような選手はどの監督からも重宝されるタイプだと思います。

 

ピエール=エミール・ホイビュア(トッテナムMF)

派手なタイプではないですが、的確な位置を取って攻撃の芽を摘んでいました。試合展開的に攻撃に関与するシーンは多く見られませんでしたので、今後そのあたりの能力にも注目して見ていきたいと思っています。

 

以上