サッカーの戦術の話

個人的に気になったサッカー主にJ1,J3,プレミアの試合を分析します。

【分析】2022 J3第4節 福島ユナイテッドFC vs AC長野パルセイロ

今年は更新増やすとか書きながら1が月以上空いてしまいました。試合はぼちぼち見ていましたが、分析に時間をかけられずで気が付けば相当前の試合になります。新しい試合を見直して分析することも考えましたが、せっかくなので記事にしました。

今回は福島ユナイテッドFCAC長野パルセイロの試合を分析していきます。

個人的にシュタルフ監督にはYSCC横浜時代から注目しているので、彼がAC長野パルセイロ(以下、長野)でどんなサッカーをするのか興味がありました。長野は負け無しで試合開始前の時点で2位です。
対する福島ユナイテッドFC(以下、福島)も服部新監督の下、開幕から3連勝で首位に立ちます。

試合の詳細はこちら

【公式】福島vs長野の試合結果・データ(明治安田生命J3リーグ第4節:2022年4月3日):Jリーグ.jp

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では、スターティングメンバーを確認します。

福島×長野スタメン

長野は今季3バックと4バックを併用していますが、この試合では4バックを採用。一方の福島は開幕から3-4-2-1のシステムを継続しています。

では、4つの局面で試合を確認していきます。

・長野攻撃

組み立て、ビルドアップ時は短いパスを繋ぎながら前進します。基本的に4人の最終ラインに加えて15宮坂が絡む構図です。15宮坂は多彩なキックの質に加えてベテランらしく状況を見て長短のパスを使い分け、攻撃のスイッチを入れる選手です。
後方で前向きにボールを保持できたら、福島の3バックのサイドのスペースにロングボールを入れます。ターゲットは8宮本か16森川です。
福島の守備はプレスのスイッチが入るとWBがサイドバックまでプレッシャーをかけに来ることもあるため、長野はサイドバックが受けてからダイレクトで斜めのボールを8宮本目掛けて入れるシーンも数回ありました。

長野攻撃(ビルドアップにおける役割)

また、長野の攻撃は左サイドに流れるシーンが多く、CBの5池ヶ谷が積極的に攻撃参加してサポートします。左SBの7水谷がハーフレーンに入り、IHの6坪側がサイドに張る立ち位置を取り、外を使って内で15宮坂がフリーで受けて裏のスペースへ、という展開が多かったです。

右サイドの14三田も幅を取るよりはライン間で受け、カットインしていくタイプの選手です。以下の図を見ても左サイドからの攻撃が多くなっていることがわかります。

エリア間パス図(長野)

ただ、長野は後半の終盤押し込んだ時間帯以外はPA内への侵入も少なく、チャンスらしいチャンスはあまり作れませんでした。

後半も崩してフィニッシュへ持ち込むシーンはそれほど多くはなく、エリアの外からミドルシュートを狙うシーンが大半でした。福島のラインが下がり始めて押し込む展開になったころからチャンスらしいチャンスが増えてきて、なんとか1点をもぎ取るような展開となりました。

・長野守備

福島の3バックに対して前線3人は互いの距離間を短くしてプレスに行きます。長野の試合は開幕から少し見ていますが、相手のビルドアップ時にボランチを消すように立ち位置を取ります。中央へのパスコースを遮断し、ボール回しを外回しにさせることで、サイドに入った瞬間に前向きに奪うことが狙いです。相手のWBに対してはIHがチェックに行きます。この試合でも34:29のシーンは奪いどころをサイドに設定して狙い通り奪取に成功しています。

サイドへ追い込んで奪う長野の守備

1つ長野の守備の弱点を挙げるとすると、この試合は中盤が3枚のため、中盤にスペースができやすいことてす。IHがサイドにチェックに行くため、スライドが遅れたり相手に引きつけられると簡単にスペースを使われてしまいます。


・福島攻撃

空中戦よりも地上戦で勝負するスタイルで、自陣から丁寧にパスを繋いでいきます。ビルドアップの形は最終ライン3枚に41上畑が絡む形です。3バックはあまり外に開かず内側のレーンに立ちます。左右に揺さぶって相手を動かしながらスペースを上手く使って攻め込みます。
前述の通りサイドに出てくる長野のIHに対して、WBが絡んでIHを引き付け、中盤にスペースを作る狙いです。空いたスペースを9高橋や両シャドーが降りてきて使うシーンが多く見られました。長野が消しに来るゾーンを剥がして展開することができると、チャンスに繋がっていました。両CBが積極的に追い越していき、攻撃に厚みを持たせるのも福島の攻撃の特徴の1つです。

中盤のスペースを使う福島の攻撃

 

福島の先制シーンも左WBの20北村が相手IHを引き付けて中盤3枚の距離を広げています。そこに9高橋が落ちて基点となり、右サイドへフィード。オーバーラップした11雪江→ハーフスペースに入った26新井光と繋いで折り返しをフィニッシュに繋げています。
上記で述べたポイントが体現された先制ゴールでした。

 

・福島守備

福島は前から追いかけるというより、リトリートしてしっかり守備ブロックを敷いて構える守備をします。
前線のプレスはほとんど行かないので、相手が後方でボールを持った際はある程度自由を与えることになります。簡単に持ち上がらせすぎな場面もあります。

プレス意識が低いことから、長野の15宮坂に自由を与えすぎてしまい、フィードで起点を作られていました。それでも後方の守備ブロックは集中力が高く、良い形でシュートに持ち込ませる場面は少なかったです。

非保持時は5-4-1でリトリートするため、押し込まれて跳ね返した後のセカンドボールの回収は難しくなります。60分過ぎくらいからラインが下がり始め、押し込まれる時間が続きます。粘って耐えているものの2次攻撃に繋げられ、最終的に追いつかれてしまいました。

 

福島としては序盤にリードして試合を優位に進めていたものの、勝ち点3を逃す結果となりました。長野からすると、終盤に追いついて負けなかったことは大きかったと思います。

 

では、気になる選手を挙げて終わりたいと思います。

水谷拓磨(長野:DF)

ボールスキルに優れ、高い戦術理解度も兼ね備える左サイドバックです。パスの受け手として絶妙なポジショニングを取り、攻撃をスムーズに展開する役割を担います。インサイドでもアウトサイドでもプレーが可能で、この試合では後半途中からIHの位置でもプレーしています。

 

・北村椋太(福島:MF)

昨季は3試合の出場でしたが、今季は開幕からスタメン出場を続けています。この試合で対峙する相手に2回股抜きで交わして突破していたプレーが印象的でした。相手の裏を突くプレーが得意な選手なのかもしれません。

 

(参考)

J3 第4節 福島 vs 長野のデータ一覧 | SPORTERIA

 

以上